小術野で必要範囲へ到達
小皮切でも頭尾側の深部視野を確保し、必要な除圧範囲を確認しながら操作します。
椎弓側のベンディング
C3-6を想定した小皮切設計
頚椎症性脊髄症、後縦靱帯骨化症など
椎弓形状に合わせてベンディング可能
OPERA(Open-door Plasty for Early Recovery Approach)は、小侵襲片開き式頚椎椎弓形成術のアプローチです。後方組織の温存を重視し、小皮切から除圧に必要な範囲へ到達します。
OPERA Laminoplasty System
OPERAはOpen-door Plasty for Early Recovery Approachの略称です。小皮切の限られた術野で、椎弓挙上後のプレート保持、ホール作製、スクリュー設置を行うため、プレートと専用器械をコンパクトに構成しています。
OPERA SYSTEM
概要
ExLAPでは、通常の頚椎椎弓形成術と同じ適応を前提とします。術前画像で深部解剖を把握して体位を計画し、小皮切から必要な除圧範囲へ到達します。OPERA SYSTEMは、椎弓挙上後のプレート設置を小術野で行うための選択肢です。
小皮切でも頭尾側の深部視野を確保し、必要な除圧範囲を確認しながら操作します。
通常の頚椎椎弓形成術と同じ適応を前提とし、術前X線側面像でアライメントを確認します。C3-6では30〜35mm程度の皮切を想定し、狭窄範囲に応じてC2またはC7のdomeplastyを検討します。
小切開では全体像を直接見渡しにくいため、術前CTで各椎弓の厚みを確認し、3D CTで棘突起の形状や椎間関節の骨棘を把握します。棘突起縦割、側溝作製、椎弓挙上の方向を、術前画像からあらかじめ検討しておくことが重要とされています。
OPERA SYSTEMは小皮切でも扱いやすいコンパクトなプレートシステムです。椎弓側をベンディングし、骨形状や個体差に合わせた適合を確認します。外側塊側と椎弓側へのスクリュー設置後は、保持状態と再閉鎖方向の力を確認します。
手術適応、術前計画
ExLAPは、頚椎症性脊髄症や頚椎後縦靱帯骨化症に対し、通常の頚椎椎弓形成術と同じ適応を前提とします。術前X線側面像でアライメントを確認し、ストレートから後弯位の症例では過度の屈曲位にならないよう体位を調整します。小皮切手術では体位によって展開範囲が大きく変わるため、術前計画と体位決定が手技の前提になります。
術前CTでは各椎弓の厚みを確認し、側溝をどの深さまで作製するかを想定します。3D CTでは棘突起形状、椎間関節骨棘、頭尾側の展開方向を確認し、小皮切で不足しやすいオリエンテーションを画像で補います。
術者は患者左側に立ち、C2およびC7棘突起を触知して皮切をデザインします。多くはC3椎弓操作を優先し、C3棘突起上から尾側へ約2横指の皮切を置きます。項靱帯正中を正確に切開してC3-6棘突起へ到達します。
開大した椎弓は曲がり鋭匙で挙上し、椎弓形状に合わせてOPERAプレートを使用します。椎弓挙上が固い場合は無理に開大せず、ヒンジ側側溝の掘削を追加します。軟部組織を温存する術式では再閉鎖方向の力が働きやすいため、保持状態の確認が重要です。
手術手技
小侵襲手術の流れを順に示します。
術前X線側面像で頚椎アライメントを確認し、メイフィールド頭蓋固定器を用いて中間位から軽度屈曲位で保持します。肩をテープで引き下げ、術中に高位を確認しやすい状態を作ります。
手技詳細へC2、C7棘突起を触知し、C3棘突起上から尾側へ約2横指の皮切を置きます。項靱帯正中を切開してC3-6棘突起正中へ到達し、X線でレベルを確認した後、先鈍直角型のゲルピー開創器を設置します。
手技詳細へC2頚半棘筋を温存し、C2椎弓下縁とC3椎弓上縁をハイスピードバーで展開します。頭尾側の深部操作では視野角度を調整し、狭窄の有無に応じて黄色靱帯の剥離やdomeplastyを選択します。
手技詳細へC3-5椎弓の側溝をハイスピードバーで作製します。右側をヒンジ側、左側をオープン側とし、オープン側では熱損傷を避けるため、生食で冷却しながら掘削します。
手技詳細へC6/7椎弓間は尾側を見下ろす視野となるため、C6椎弓下縁が妨げになりやすい部位です。C6椎弓遠位側を数mm切除して黄色靱帯を確認し、C7椎弓上縁から黄色靱帯付着部を剥離します。
手技詳細へ曲がり鋭匙で各椎弓を持ち上げ、OPERAプレートを設置します。スクリューホールを作製し、外側塊側と椎弓側にそれぞれスクリューを刺入します。椎弓挙上が固ければ、ヒンジ側の側溝作製を追加して調整します。
手技詳細へ十分に洗浄した後、閉鎖式持続吸引ドレーンを留置して筋層を縫合します。小皮切でも頭尾側端を直視下に縫合できるよう開創器で展開を保ち、皮下縫合後に創を閉じます。
手技詳細へProcedure Manual
術前計画から閉創前確認まで、OPERA SYSTEMのプレート選択、ホルダー操作、スクリューホール作製、設置後確認を術中の順序でまとめています。
ExLAP Fit
小皮切から深部を操作するExLAPでは、視野、器械の進入方向、プレートの保持を併せて検討する必要があります。手技書では、それぞれの手順を確認できます。
Flexible Lamina Side
椎弓側の支持部は骨面に沿わせやすい設計です。椎弓厚、開大角、スクリュー角度を確認しながら、骨形状の違いに応じた適合を検討できます。
Holder Workflow
プレートの表裏、サイズを示す色、ホルダーの溝での把持、挿入方向を、術者と器械出し担当者が共有しやすいよう手順に沿って示しています。
Compact Set
ドライバー、トライアル、ホルダー、O型ホルダー、インプラントケースまで、手術室で扱いやすいコンパクトな構成です。
Operative Workflow
術前計画から閉創前確認まで、手術室での確認順にまとめています。
責任高位、開大範囲、開大側・ヒンジ側、プレートサイズ、スクリュー長、器械セットを確認。
開大側・ヒンジ側の骨溝位置、骨性抵抗、椎弓側支持面を順に確認。
6、8、10、12mmのサイズ、色分け、骨面接触、スクリューホール方向を確認。
ホルダーで保持し、外側塊側からスクリューホールを作成。尾側から設置して角度調整余地を残す。
各プレート4本設置、浮き上がり、緩み、開大幅、スクリュー長、器械・インプラント数を確認。
Implant Line-up
6・8・10・12mmのプレートを色分けし、スクリュー長とレスキュー選択肢を一覧化しています。
OR Workflow
関連論文
山根健太郎・成田渉らによる2つの技術報告。2024年はExLAP 17例と従来法11例の術後急性期を比較。2026年は頚椎後縦靱帯骨化症に対する椎弓根スクリュー併用術式ExLAPPSを報告しています。
書誌情報: ExLAP · 2024 / ExLAPPS · 2026
2023年3月から11月までの頚椎症性脊髄症症例を検討。
従来法11例との比較として報告。
技術ノートと急性期術後成績の予備的解析。
頚椎OPLLに対する椎弓根スクリュー併用術式の初期経験。
いずれも予備的な術式報告です。OPERA製品単独の比較試験ではなく、長期成績や製品間の優越性を示すものではありません。
Surgical Atlas
注意点
本ページは術式の概要です。適応や術式の選択、リスク説明の内容は、診察、画像所見、全身状態を踏まえて判断します。
頚椎症性脊髄症や頚椎後縦靱帯骨化症に対して通常の頚椎椎弓形成術と同一の適応である。筆者らは従来10cm前後の皮切を要していたが,ExLAPに移行後C3-6レベルであれば30〜35mmの皮切で対応している。
導入初期は大きめの皮切から始め,ラーニングカーブに応じて皮切を小さくするのが望ましい。C2/3からC6/7レベルの狭窄であれば,C3-6椎弓形成とC2あるいはC7のdomeplastyで対応でき,C2,7の頚半棘筋を完全に温存できる。
小切開で手術を行い,軟部組織を温存するため全体像が把握しにくく,術前CTにて各椎弓の厚み,3D像で棘突起の形状や椎間関節の骨棘などを術前に確認し,棘突起縦割や側溝作成手技のイメージをしておく。
筆者らは頚椎の解剖を把握するために必要に応じてXRナビゲーションを行っている。手術には先鈍の直角型のゲルピー開創器,コンパクトなハイスピードバー,適度な強度があり先端が尖っていない直角型の吸引管を準備する。
術前X線側面像でアライメントをよく確認した後,メイフィールド頭蓋固定器を用いて頚椎中間位から軽度屈曲位で固定する。テープで両肩を引き下げ,手術高位を確認しやすくする。
小皮切の手術は体位が非常に重要である。特に術前のアライメントがストレート〜後弯位の場合に通常通りの体位を取ると過度の後弯となるため手術が困難となる。
術者は患者の左側に立つ。C2棘突起とC7棘突起を触知し,2横指の皮切をデザインする。通常は,C3椎弓の操作を優先して,C3棘突起上から尾側に2横指の皮切を置いている。よって,おおよそC3-5棘突起上に皮切を置く形となることが多い。
正中の項靱帯上を正確に電気メスで切開し,C3-6棘突起正中に到達する。この時点で,X線にてレベル確認を行う。先鈍の直角型ゲルピー開創器を設置する。
3mmのハイスピードダイヤモンドバーでC3-6棘突起の先端部分を正中から左右に頚半棘筋の付着部を温存して縦割する。C3-6椎弓を電気メスで左右に展開する。外側塊の展開は側溝位置までとし,極力最小限にする。
C2頚半棘筋は完全に温存し,C2椎弓下縁,C3椎弓上縁をハイスピードバーで展開し,C2/3黄色靱帯を露出する。C2/3レベルの狭窄がなければ,C3椎弓上縁から曲がりの鋭匙で黄色靱帯をC3椎弓から剥離する。
C2/3レベルに狭窄があれば,C2椎弓下縁を3〜4mmハイスピードバーで黄色靱帯が剥離できるまでdomeplastyを行い,C2椎弓側で黄色靱帯を剥離する。C2/3椎弓間の操作時に外視鏡のカメラは最も頭側に傾けた状態となる。
C3-5椎弓の側溝をハイスピードバーで作製する。右側がヒンジ側で左側がオープン側としている。オープン側では熱損傷を避けるために適宜生食で冷やしながら掘削する。術者一人の際は生食を滴下するノズルがついたバーを使用するのが望ましい。
C6椎弓の側溝はヒンジ側のみ作製し,次のC6/7椎弓間の開窓に進む。一筆書きを意識して側溝作製をすると効率的である。
C6/7椎弓間の操作は尾側に見下ろす視野となるため,C6椎弓下縁が邪魔となり,C6/7椎弓間の黄色靱帯に到達しにくい。C6椎弓遠位側をハイスピードバーで数ミリ切除するとC6/7黄色靱帯を確認しやすい。
C7椎弓上縁もハイスピードバーで展開し,C7椎弓上縁から曲がりの鋭匙で黄色靱帯をC7椎弓から剥離する。C6/7レベルに狭窄があれば,C7椎弓上縁をハイスピードバーや2mmのケリソン鉗子で必要十分なところまで切除する。
C6/7椎弓間の開窓操作を終えた後にC6椎弓オープン側を切離する。C6/7椎弓間の操作時に外視鏡のカメラは最も尾側に傾けた状態となる。
本術式は視野が限られているため,従来の糸のみでの固定やHAスペーサーを糸やアンカーで固定する術式は施行困難である。プレートシステムは様々な機種を選択できるが,筆者は小侵襲手技に適したOPERA SYSTEM(Symphony Medical Co. Ltd.)を使用している。
同プレートは小皮切でも操作しやすいよう非常にコンパクトなデザインであり,スクリューの効きがいいため軟部組織を温存してプレートを設置できる。プレートの椎弓設置側は,容易にベンディングすることができ,椎弓の形状や個体差に応じて適切にフィットするようになっている。
各椎弓を曲がりの鋭匙で持ち上げ,プレートを設置する。オープン側の黄色靱帯は基本的に切離せず椎弓を持ち上げる。椎弓挙上が固ければヒンジ側の側溝の掘削を追加し,無理に椎弓を持ち上げようとしないことが重要である。
1〜2mmのハイスピードバーで各スクリューホールを作製する。外側塊側と椎弓側にそれぞれ2本のスクリューでプレートを固定する。小皮切手術では術後患者活動性が高いことに加え,後頚筋群を完全に温存するため軟部組織の圧迫による開大椎弓の再閉鎖が起こりやすい。
十分に洗浄し,径3.5mmの閉鎖式持続吸引ドレーンを留置し,筋層を縫合する。ゲルピー開創器を助手もしくは直接介助看護師にレトラクトしてもらうことにより,小皮切でも頭尾側端の筋層を直視下に縫合することが可能である。
筆者は一人で手術を行うため,連続でtightに縫合できるSTRATAFIXを重用している。皮下縫合を行い,最後にステリテープを貼付している。当科では,術翌日からリハビリテーションの介入を行い,早期に離床を開始している。
外視鏡は映像情報をいったんデジタルデータに落とし込むため,XR等の支援機器との組み合わせによる新しいインターフェースが期待できる。外視鏡モニターにCTナビゲーションの画像をピクチャーインピクチャーで表示することができる。
外視鏡の3Dモニター画像をスマートグラスに投影することで,術野とグラス上の3D画像の確認が最小限の視線移動で可能となり,モニター設置スペースも削減できる。一方で,現時点のスマートグラスは解像度が平面モニターより劣り,重量もあるため,臨床使用には課題がある。
HMDは,パススルー機能を備えた装着型ディスプレイで,外視鏡と連携させることで拡大視手術への応用が期待されている。手術トレーニングを含む教育や遠隔手術支援/見学には,インターネット環境が整っていれば実用できる。
コツコツ&注意点
小皮切の手術は体位が非常に重要である。特に術前のアライメントがストレート〜後弯位の場合に通常通りの体位を取ると過度の後弯となるため手術が困難となる。
C3椎弓・外側塊が術野として最も深く,頭側に傾斜しているためプレート設置が難しい傾向にある。皮切をC3椎弓寄りに設定することでC3椎弓へのプレート設置を容易にできるよう工夫している。
椎弓間の黄色靱帯を全切除せず,鋭匙で切離または部分剥離することで出血を抑えられ,多くの症例でバイポーラーは不要である。
C6椎弓オープン側を切離する前にC6/7開窓を行う理由は,C6椎弓を先に切離するとC6/7開窓操作時にC6椎弓が閉鎖方向に動き,脊髄を圧迫する可能性があるためである。
Clinical Questions
一律ではありません。C3–6に対する30–35mmの皮切は、掲載手技で示された目安です。狭窄範囲、頚椎アライメント、骨形態と必要な展開範囲を術前画像で確認し、術者の習熟度も踏まえて判断します。皮切長よりも必要な視野の確保を優先します。
適応と術前計画を確認椎弓側プレートはベンディングが可能で、椎弓形状や個体差に合わせた適合を確認できます。ドライバー、トライアル、ホルダーなどの専用器械もコンパクトな構成です。実使用時には、電子添文と正式手技書に従って適応、サイズ、操作方法を確認してください。
プレートと器械の特徴を確認ExLAPは、外視鏡を用いた小侵襲片開き式椎弓形成術の論文上の名称です。ExLAPPSはこれに椎弓根スクリューによる固定を併用する術式で、2026年に頚椎後縦靱帯骨化症に対する初期経験が報告されています。プレート用スクリューの設置だけを指す名称ではありません。
ExLAPPSの引用文献へ術式の臨床報告と製品単独の評価は区別する必要があります。関連する2論文は予備的報告であり、これらのみからOPERA製品の他製品に対する優越性や、すべての症例での早期回復を結論づけることはできません。
研究対象と報告の範囲を確認Sources
OS NEXUS No.18,関連論文,OPERA SYSTEM資料をもとに構成しています。